研修効果を最大化する「習得の4段階」とは?

研修の効果は「やりっぱなし」か「仕組み化」かで、なんと3倍の差が出ることをご存じですか?本記事では、意識変容・行動化・習慣化を実現する「習得の4段階」フレームと、ITを活用した継続支援の仕組みをご紹介します。

 

研修効果を3倍にする方法

「研修がやりっぱなしになっている」という言葉をよく耳にします。これは、事前準備やフォローが不十分なために、十分な効果が得られていないという課題意識の表れでしょう。ある大企業で調査を行ったところ、研修テーマによって差はありますが、事前の動機付けや事後フォローの有無によって、研修効果に平均で3倍の差が生じることが分かりました。もし皆さまが研修プログラムを企画する際に、講師や内容のみに注力しているとしたら、研修効果を3倍にできるチャンスがそこにあると言えます。

 

習得の4段階

学習プロセス全体をデザインするフレームとして、「習得の4段階」(下図)があります。研修のゴールを「意識が変わり、能力が身につき、それが定着・習慣化した状態」と捉え、そこに至るプロセスを示しています。4段階の詳細については図をご覧いただくとして、本稿では、この段階を進んでいくためのポイントについてご紹介します。

習得の4段階

まず「意識変容」については、アセスメントや多面評価によって自身の内省を促すことが理想的です。しかし、必ずしも手間をかける必要はありません。たとえば、上司にその方の課題について一文を書いてもらい、研修冒頭で読んでもらうだけでも、手軽でありながら強い効果があります。
また、ゲーム型のシミュレーションを用いることも有効です。ゲームでは参加者の素の行動が出やすく、失敗を通じて自分が「できていないこと」に気づくことができます。こうした体験は、論理的な説明以上に心を動かし、内省や動機付けにつながります。重要なのは「心を揺さぶる」ことです。危機感、不安感、焦燥感といった感情が、学習の必要性を強く意識させてくれます。

「行動化」に関しては、経験学習を活用した研修が効果的です。経験学習は、体験を通じて気づきを得て、それを振り返り、学んだことを別の場面で試すというサイクルで学びを深める手法です。従来の「学ぶ→やってみる」という一方向の学習ではなく、経験学習のプロセスを取り入れることで、理解にとどまらず実際の行動へとつながりやすくなります。

 

「習慣化」にはIT活用が効果的

一般的に、学んだことを習慣として定着させるためには、3ヶ月程度継続する必要があると言われています(ジム通いや禁煙も、3ヶ月続けば定着する可能性が高くなります)。この定着を効率的に支援する手段として、ITの活用が有効です。事務局や上司の負担を軽減しながらフォローアップを行うことができます。

たとえば、弊社が支援した古河電工様では、行動定着を促すためのアプリを開発・活用しました。このアプリは、日々の業務の中で「感謝する」「信頼する」といったリーダーに求めるマインドセットに基づいた行動を入力していくことで、ゲーム感覚で楽しく習慣化できる仕組みです。行動を記録するごとにポイントが加算され、他者への「いいね」やコメントといったやり取りも評価対象となり、ランキング形式で可視化されることで継続意欲が高まります。
導入から数ヶ月で、「メールの冒頭に“いつもありがとう”と書くようになった」「感謝の姿勢で部下の反応が変わった」といった具体的な変化が生まれ、360度フィードバックの取り組みも前向きに受け止められるようになりました。大規模な効果検証を行ったところ、この活動とチーム状態の間には明らかな相関がみられました。

どれほど優れた講師であっても、どれほど練られた研修プログラムであっても、1日や2日で人をここまで変えることは難しいでしょう。まさに「継続は力なり」です。

 
 

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